「英雄」で「善人」のマケインはなぜ大統領になり損ねたのか──それはアメリカが変わってしまったからだ

<トランプ大統領に物言う政治家として、党派を超えて尊敬を集めていたジョン・マケイン。だがアメリカの政治と世論にはとうに見捨てられていた>

米共和党の重鎮ジョン・マケイン上院議員が8月25日に死去した。81歳だった。1年前に脳腫瘍と診断され、闘病中だった。祖父も父も海軍大将という軍人一家に生まれたマケインは、海軍のパイロットとして従軍したベトナム戦争で「英雄」となった後、政治家に転身し、世界におけるアメリカの指導力を不断の努力で守ってきた。

「ジョン・マケイン上院議員は、妻のシンディーと家族に看取られて亡くなった。彼は60年にわたって誠実にアメリカに尽くした」と、マケインの事務所は声明を出した。

アメリカ政治が専門の筆者としては、彼の評伝や人間的な魅力が何であれ、アメリカ政治における3つの強力なトレンドが、2度にわたって大統領を目指した彼の野望に立ちはだかったことのほうに興味を引かれる。3つのトレンドとは、アメリカにおけるキリスト教右派の台頭、党派間の対立、外国で戦争をすることに対する世論の厭戦気分だ。

超党派の人気に衰え

マケインは党派を超えた立法のチャンピオンで、米上院の議会運営に貢献した。だがアメリカで政治的な分断が広がるにつれ、彼のような超党派の政治家はかつての人気を失った。

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