TBS松原耕二が書いた、翁長知事への「別れの言葉」

<8月8日、沖縄県の翁長雄志知事が67歳で急逝した。16年に翁長知事への踏み込んだインタビューを元に著書『反骨〜翁長家三代と沖縄のいま』(朝日新聞出版)を上梓したTBSキャスター・記者の松原耕二氏が、翁長知事への追悼の言葉をつづった>

翁長知事と最後に言葉を交わしたのは、慰霊の日の2日前だった。

当初、そんなつもりはなかった。すい臓ガンの手術を受けたのだ、それどころではないだろう。1年前には慰霊の日のやはり2日前にインタビューしたものの、今年は取材の申し込みすらしないでおくつもりだった。ところが退院した日のすっかり痩せた姿を見てからというもの、少しずつ気持ちが変わっていった。会っておかないと後悔するような気がしたのだ。取材という形であろうと、なかろうと、いやそんなことよりも、個人的に挨拶だけでもしておきたいという思いに駆られた。

別れの言葉

取材で滞在したときが議会の開会中だったこともあって、時間をつくってもらうことは叶わなかったけれど、それでもあきらめきれない。昼休みのあと午後の議会が始まるタイミングに、議場の入り口で待つことにした。

知事控室から翁長知事が姿を見せる。足取りは弱々しい。わずかにうつむく姿は、自分の足が一歩一歩、前に運ばれていることを確認しているようにも見えた。

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