自殺者を追い詰める「心の因子」を、AIアルゴリズムが洗い出す

<予測困難で増加に歯止めがかからない自殺――AIのアルゴリズムとSNSの活用でその要因が飛躍的に解明できる?>

今や自殺は、世代や地域を問わず深刻化する難題の一つ。WHO(世界保健機関)によれば、世界の自殺件数は年間80万件を超え、15〜29歳の年齢層では2番目に多い死因となっている。アメリカで16年に自殺で亡くなった人は約4万5000人。99年から30%近く増加した。

自殺を事前に察知する術を見いだそうと、長年さまざまな研究が行われてきたが、いまだ突破口となりそうな成果はなきに等しい。しかしここにきて、意外な分野から「救世主」が現れるかもしれないとの期待が高まっている。AI(人工知能)が大きな飛躍をもたらす可能性があるというのだ。

そもそも自殺予測の大きな「壁」の一つは、要因を特定するのが難しいこと。鬱状態の人が自ら命を絶つ可能性が高いことを考えれば意外かもしれないが、自殺は多くの変数が絡み合った複雑なものだからだ。

17年にアメリカ心理学会の「心理学紀要」に発表された研究では、遺伝子や精神疾患、虐待など3428の危険因子を扱った過去50年の論文365本をメタ分析(複数の研究の分析結果の分析)。その結果、自殺を予測する上で1つの危険因子が臨床的に有意であることはない、との結論が出た。

そこで研究者らが提案するのが、数々の危険因子から有用なパターンを見つけるAIのアルゴリズムの開発だ。

1 2 3 次へ

関連記事(外部サイト)