EU離脱、一触即発の危険を捨てきれない北アイルランド

<ブレグジット問題が危機的にこじれる原因の北アイルランド問題の核心がよくわかる>

英国が欧州連合(EU)から離脱するブレグジットまであと約2か月となったが、今月15日、EU側とメイ政権がすでに合意済みの離脱協定案が議会で否決された後、離脱自体が中止となる可能性も取り沙汰されるほどの迷走状態となっている。

議会の支持を取り付けるために大きな障害となったのが、英領北アイルランドとアイルランド共和国との間に物理的な国境(「ハード・ボーダー」)を置かないための「安全策」(通称「バックストップ」)の取決めだ。

北アイルランドでは、1960年代から英国からの分離独立とアイルランドへの帰属を求めるカトリック系住民と英国への帰属継続を求めるプロテスタント系住民との対立が激化し、互いの民兵組織によるテロや武力抗争が始まった。これは「ザ・トラブルズ」(北アイルランド紛争)と呼ばれ、3000人以上が命を落とした。

1998年、北アイルランドの帰属を住民の意思に委ねる包括和平合意「ベルファスト合意(聖金曜日協定)」が調印され、かつては敵同士だったプロテスタント、カトリックの有権者を代表する政治家がともに自治政府を構成するまでに至った。

民兵組織による攻撃の対象になりがちだった国境検問所は1990年代に次第に機能停止状態となり、現在、北アイルランドとアイルランドの間で国境検査は行われていない。

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