ディープラーニングの進化で、AI時代の未来は中国の手中に

<囲碁でAIに敗れたショックが中国テクノロジー界の快進撃に火を付けた>

かつてグーグルの中国部門を率い、現在は北京の著名なベンチャーキャピタリストである李開復(リー・カイフー)は、その光景をよく覚えている。2年前の春、李はオフィスでテレビにクギ付けになっていた。映し出されていたのは、黒縁の眼鏡を掛けた19歳のオタクっぽい青年だった。

彼の名は柯潔(コー・チエ)。李は彼が「人類の最後の戦い」に挑むヒーローには見えなかったと、冗談めかして言う。戦いの相手は「アルファ碁」。グーグル傘下の英ディープマインド社が開発した人工知能(AI)の囲碁プログラムだ。

柯は世界最古のボードゲームとされる囲碁の神童で、10歳でプロデビューし、アルファ碁と対局するまで世界最強の棋士とみられていた。だが、アルファ碁には3連敗を喫した。

李に言わせれば、これは中国にとっての「スプートニク・ショック」だった。57年にソ連が人類初の人工衛星打ち上げを成功させ、アメリカに大きな衝撃が走った一件だ。これがNASAの設立につながり、当時のジョン・F・ケネディ大統領は60年代末までに人類を月に到達させると宣言。こうして宇宙開発競争が始まった。

欧米に追い付く方法を知る国

中国のテクノロジー関係者にも、柯がアルファ碁に敗れたことは衝撃だった。

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