中国のAI巨大戦略と米中対立――中国政府指名5大企業の怪



但し、世界170ヵ国にあるHuaweiの支社同士が互いに競争しているため、「産業スパイ」をしているか否かに関しては別問題である。

クァルコムと協力関係にあるセンスタイム

さらに奇妙な現象がある。

BATISのうち、(1)〜(4)の「BATI」までの企業は2017年11月に指名されているが、最後の(5)の「S」、すなわち「Sense Time(センスタイム)」(商湯科技)だけは、2018年9月になって、ようやく決まった。担当するのは「顔認識」。



日本では適当な噂に乗って、中国の監視体制の顔認識に関しては「中国政府と癒着しているHuaweiが担当している」などと、まことしやかに語っているが、顔認識分野を担当しているのは、このセンスタイムだ。政府文書にも明示されている。

奇妙なのは、このセンスタイムが香港の企業だということである。2014年に香港中文大学工程学院の湯暁鴎教授が創設した。彼はAI技術の核を成すディープラーニングが専門だ。

センスタイムは香港発の企業であるだけでなく、実はクァルコムと深い関係を持っている。中国政府が香港企業を選んだのは、マカオや香港などの特別行政区をカバーする必要があるからだと中国政府文書にはあるが、センスタイムは2017年11月15日にクァルコムからの巨大投資を受け、ディープラーニングを中心としてAIとVR(Virtual Reality=仮想現実)やAR(Augmented Reality=拡張現実)を結びつける分野を共同開発している。

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