細菌の感染ルートを探るには、お札を追え!

<香港の研究で、手の平や地下鉄構内の空気より、紙幣の表面に細菌はたくさん棲み、しかも長生きしていることがわかった>

キャッシュレス時代の到来で、現金離れが進んでいる。現金を持ち歩かなくてよいということには、意外なメリットもありそうだ。なんと紙幣には、生きた細菌ごっそり付着しているのだ。

過去の研究で、細菌が紙幣の表面で生存できることは分かっていた。だが香港で行われた最新の研究は、この細菌集団に想像を超える生命力があることを突き止めた。だとすると紙幣は、都市にはびこる細菌の感染ルートを監視するための優れた情報源になる。

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香港大学の研究チームは、紙幣に付着した細菌の生存期間を調べるため、香港市内にある12の医療機関と3つの地下鉄駅から1枚ずつ、合わせて15枚の香港ドル紙幣を回収した。彼らが最初にやったのは、本当に細菌が紙幣の上でも死なないのかを確認すること。そのため、いったん紙幣から取り除いた細菌を、寒天を使って異なる種類の細菌や微生物を培養した何種類ものペトリ皿にそれぞれ移し替えた。スイスの科学誌「フロンティアズ・イン・マイクロバイオロジー」に掲載された結論によると、移植した細菌はすぐに繁殖、細菌が紙幣に付着した状態で生存できることが裏付けられた。

紙幣が細菌追跡の目印に

香港の紙幣に最も多く付着する細菌は、ニキビを引き起こす「プロピオニバクテリウム・アクネス(アクネ菌)」だ。

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