トランプ「新中東政策」をどう評価するか?

<イランを敵視する一方、安定政権であれば独裁者も認める――旧来からの共和党政権の外交を継承するトランプの「孤立主義」>

ドナルド・トランプ米大統領は、就任後の最初の外国訪問先としてサウジアラビアを選びました。サウジを振り出しに、エルサレム、バチカン、さらにはブリュッセルのNATOとEU本部、そして最後にイタリアのタオルミナでのG7サミット参加という旅程ですが、その最初の訪問先に中東を選んだことになります。

サウジでトランプ大統領は、サルマン国王を中心に主としてスンニ派の「穏健イスラム諸国」の指導者を一同に集めて、トランプ政権としての「イスラム政策」について包括的なスピーチを行いました。

このスピーチ、なかなか威勢が良かっただけでなく、選挙戦当時の言動と比べるとだいぶ「リアリズム」に寄っていることもあり、国際社会としては基本的に歓迎しているようです。ですが、よく見ていくと「分かりにくさ」を感じます。全体を貫く思想と言いますか、一貫性が弱いのです。

【参考記事】どこが違う? トランプ・ロシア疑惑とウォーターゲート

まず、選挙戦を通じて叫んでいた「イスラム教徒は入国禁止」とか、「9.11のテロの背後にサウジアラビアの存在がある」といった、イスラム敵視世論に媚びた姿勢は、とりあえず影を潜めました。ですが、こうした過激な言動の背景には、支持者による「異文化とは交流したくない」「アメリカに危険を持ち込まないで欲しい」という拒絶や排除を中心とした感情論があったわけです。

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