ヨーロッパを遠ざけロシアを引き寄せたトランプのNATO演説

<ヨーロッパの同盟諸国に対し、応分の防衛費を払えとしつこく言うだけで、集団防衛の確約は与えないトランプのやり方はロシアを喜ばせただけ>

ドナルド・トランプ米大統領は、昨年の大統領選期間中、NATO(北大西洋条約機構)を「時代遅れ」と批判し、応分の防衛費を負担しない加盟国を防衛する義務はない、と主張した。今週25日、ベルギー・ブリュッセルで開催されたNATO首脳会議で、加盟各国は大統領として初の出席となるトランプの後ろ向きな姿勢が変わるかどうか注視していた。とりわけ、NATOの根幹となる「集団防衛」義務を守ると言って欲しかったのだが、期待は見事に裏切られた。

完成したばかりのNATO新本部で演説したトランプは、加盟各国の首脳らが明らかに困惑した表情を浮かべるなか、各国が応分の防衛費を負担していないと厳しく批判した。トランプの大統領就任以降、アメリカとヨーロッパの同盟国との間にはぎくしゃくした関係が続いているが、トランプに関係修復の意思はみられなかった。

【参考記事】マティスはNATOへの最後通牒から引き返せるのか

「アメリカの納税者にとって不公平だ」と、トランプはさらに続けた。「多くの加盟国は長年の借りがあり、返済する様子もない」(NATOには国連のような分担金はないので、トランプが正確に何の話をしているのかは不明)

ロシアの脅威は無視

GDPの2%を防衛費として負担するというNATOの基準目標を現時点で満たしているのは加盟28カ国のうち5カ国(アメリカ、イギリス、ポーランド、エストニア、ギリシャ)だけ。

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