困難と良心を前にして──マニラのスラムにて

<「国境なき医師団」(MSF)を取材する いとうせいこうさんは、ハイチ、ギリシャで現場の声を聞き、今度はマニラを訪れた>

これまでの記事:「いとうせいこう、『国境なき医師団』を見に行く 」

強権デゥテルテの前での反マルコスデモ

11月24日、『国境なき医師団(MSF)』現地本部の上から見ているとまずデモはイントラムロスという美しい観光地あたりから集まり始め、次第に人数を増やしながらUターンをして、別の広場へと向かった。

横断歩道を渡る時、警官たちはデモ隊を止めず、むしろ自動車から彼らを守っていた。世界のデモの常識だが、ずいぶん日本とは違う。隊列を途切れさせることが優先されるからだ。

さらにマニラでは翌25日にもデモがあり、集会があった。夕方までに取材を終えた俺と広報の谷口さんとロセルは広場へ行ってみた。見ると若い人が多く、みな黒いTシャツなど着てわらわらと集まっていた。

ステージが組まれ、後ろに巨大なビジョンがしつらえられていた。司会は学生らしき男女二人で、それが様々な世代をつないで紹介し、シュプレヒコールをあげたりした。

メッセージを掲げる。Piket the sign(マーヴィン・ゲイ)

暗くなっていくにつれ照明が強くなり、小雨がちだったこともあって傘売りが現れたり、タオル売りが出たりした。デモは普通に小売業のおじさんもうるおわせるのだ。

アナウンスの後ろにはヒップホップのビートが流れていた。

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