日中戦争から一帯一路まで「パンダ外交」の呪縛

<日中現代史を動かす動物にはいつも中国名が。「平和の使者」に秘められた膨張国家の思惑とは>

日本人は世界一パンダ好きな国民のようだ。6月中旬に東京の上野動物園でメスのジャイアントパンダ「シンシン(真真)」が赤ちゃんを出産。このニュースはテレビ各局でトップニュースとして報じられた。

新聞各紙も「改憲か護憲か」といった社論の対立を超えて、「平和の象徴」パンダの写真を1面に掲載した。新聞の論調の差は中国に対する姿勢の違いとなって表れることもあるが、パンダの誕生に関しては原産国・中国の思惑が見過ごされているように見える。

パンダをめぐる日本メディアの天真爛漫はこれだけにとどまらない。いつもはこわもてな中国外務省の陸慷(ルー・カン)報道局長が日本人記者からパンダ誕生の感想を聞かれ、「いいニュースだ」とリップサービス。そんなほんの一言が日本では翌日の新聞紙面に躍り出た。中国の外交筋や現地の日本人によると、外務省の記者会見のやりとりはほとんどが「やらせ」。質問者もその答えも事前に用意されている。

もし習近平(シー・チンピン)国家主席が「パンダの誕生で日中友好は一層促進される」とでもコメントしたら、その言葉は日本の全新聞のトップを大きく飾るに違いない。今そうなっていないのは、日中間の「根回し」と「忖度」がまだ足りていないからかもしれない。

【参考記事】失敗続きのパンダ繁殖に効果絶大「パンダポルノ」

蒋介石夫人からの贈り物

中国の山奥から世界各地の動物園に移住を強いられる「平和の使者」。

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