風呂に入れさせてもらえないか──ウガンダの難民キャンプで

<「国境なき医師団」(MSF)を取材する いとうせいこうさんは、ハイチ、ギリシャ、マニラで現場の声を聞き、今度はウガンダを訪れた>

これまでの記事:「いとうせいこう、『国境なき医師団』を見に行く 」

まえがき

この連載でいつも使っているのがカタール航空だし、俺が気にし続けている男もまたその機内に最初現れたのだった。

それがカタール自体、アラブ諸国の中での孤立を突如深め、今ではアラビア半島の上を一列にしか飛べないありさまだ。

ここ数日のことである。

どんどん世界が変わっていってしまう。

緊張の方向へと。

その中で、彼はどこから俺を見ているというのだろうか。

遠きインベピ

インベピ・キャンプはまだ新しく、いかにも建造されつつある難民居住区で、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と印刷された銀色の遮光防水シートで出来た四角いテントがあちこちにぽつぽつと立ち、ある場所は金網で仕切られていて上に鉄条網が張り巡らされていた。

水を運ぶタンク車がその金網の向こうに止まり、イギリスの貧困克服援助団体OXFAMのビブスを付けた人が行き交っていると思えば、セーブ・ザ・チルドレンがテントを構え、その間を多くの難民らしき人々が、特に女性であればほぼ必ず頭に水の入ったポリタンクなど乗せて歩いている。

国連(UN)を中心として、複数の人道団体がそれぞれの支援を進めているのだ。広大なビディビディ・キャンプでさえさばききれない数の難民が移動してきているからである。

1 2 3 4 5 6 7 8 次へ

関連記事(外部サイト)