次の覇権国はアメリカか中国か 勝敗を占う「カネの世界史」

<覇権国を嗅ぎ分ける「ベネチアのカネ」はどこへ行く。資金流出の一方で米銀行進出と錯綜する経済の裏側>

15年前、ある中国専門家が筆者に言った。「中国の政治はカネの流れで分かる」。そのとおり。世界の歴史や覇権の移行さえ、カネの流れでよく分かる。

まずはカネの流れを世界史レベルで振り返ろう。古代ローマが築いた地中海経済圏の富は中世になって沿岸の都市国家ベネチアに蓄積。この資本は16世紀末以降にオランダ、17世紀にオランダからイギリスへ、19世紀後半以降にイギリスからアメリカへ。つまり新しい覇権国へと移行していく。「ベネチアのカネ」は、次の覇権国を嗅ぎ分けるのだ。

次の移行先は中国だろうか。2000〜08年の中国には、経常黒字と外国からの直接投資を合わせて、年間平均3000億ドル程度の資金が流入していた。8年間で2兆4000億ドルに達した外貨準備を背景に人民元を大量発行。インフラ建設だけでなくアリババなど新たなサービス産業で膨らませ、年間11兆ドルものGDPを稼ぐまでになった。

ところがこの数年、中国政府が人民元の買い支えに乗り出すほど、資金流出がひどかった。15年には対外直接投資の名目で約1500億ドルが流出。昨年上半期だけでも、外国でのM&Aを名目に約1200億ドルの流出を見ている。中国経済の崩壊を予見して、内外の投資家が資金を逃避させているのだろうか。

いや、むしろこの流出の要因は政治的なものだ。

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