ウォール街を襲うAIリストラの嵐

<トレーダーを襲う没落の危機、優秀な人材の過度な集中を是正する効果も>

AI時代の到来で職を失いつつあるのは工場労働者やトラック運転手だけではない。それ以上に差し迫った危機に直面しているのはウォール街のトレーダーやファンドマネジャーだ。強欲な連中が没落するなら、AI大歓迎だと言う向きもいるだろう。

市場予測の精度でも取引実績でも、AIは人間より優秀だ。当然、証券大手やヘッジファンドはこぞってAI化を進めている。導入は数年前からじわじわ進んできたが、ここに来て一気に加速したと、テクノロジー専門家のマーク・ミネビッチは指摘する。「(AI革命は)ウォール街の魂を直撃し、ニューヨークの街全体を変えるだろう」

調査会社ユーリカヘッジによると、AIを導入した23社のヘッジファンドは軒並み運用実績が高いという。「意識的にせよ無意識にせよ、人間が持つ偏見や感情」が投資判断を曇らせると、アップルの音声アシスタント機能Siri(シリ)の開発に携わったババク・ホジャットは言う。

アメリカの上位12社の投資銀行のセールス、トレーディング、調査部門の人員の年収は平均50万ドル。年収数百万ドルのトレーダーも珍しくない。年収100万ドルとすれば、時給は大体500ドルだ。ファストフードチェーンが時給8ドルの従業員の代わりにロボットを導入するなら、投資銀行がAIを導入したくなるのも無理はない。

【参考記事】AIを使えば、かなりの精度で自殺を予測できる

いい例がゴールドマン・サックスだ。

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