カタール危機で湾岸諸国が棚に上げる自分たちの出稼ぎ労働者問題

<サウジアラビアやUAEなどの湾岸諸国は、カタールに対する国境封鎖を正当化する理由として出稼ぎ労働者に対する人権侵害を批判しているが、呆れて空いた口がふさがらない>

小国カタールをめぐるカタール危機の始まりは6月上旬、サウジアラビアやアラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンなどの湾岸諸国がカタールと断交を発表したことだ。最近はテレビ局や新聞などで政治的な論争が繰り広げられるなど、表立った舌戦へと変化している。

【参考記事】「開戦」は5月下旬 けっして突然ではなかったカタール断交

断交により、それぞれの政府は国民に対しカタールから自国に戻るよう指示しているため、あちこちで家族が引き裂かれ、学生は学業を断念せざるをえなくなっている。こうした状況は人権侵害に当たるとして、国際人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は非難している。

【参考記事】国交断絶、小国カタールがここまで目の敵にされる真の理由

カタール危機が生んだ最も顕著な変化の1つは、湾岸諸国の政府が突如として、カタールで働く出稼ぎ労働者の待遇に関心を示し始めたことだ。

カタールでは2022年に開催されるサッカー・ワールドカップ(W杯)の準備が数年前から進んできたが、出稼ぎ労働者の苦境を訴えてきたのはNGOや労働組合くらいだった。今、周辺国が政治的に対立するカタールへの新たな攻撃材料を探し求める中、カタールが抱える出稼ぎ労働者の人権問題が有効な手段として浮上している。

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