習近平が絶対的権力を手にした必然

<就任前に起きた「アラブの春」そして有力党幹部の汚職事件が体制固めの好機を与えた――毛沢東以来と言われる習近平の独裁体制はどこまで続くか>

中国共産党の第19回党大会は10月18日に、習近平(シー・チンピン)国家主席の長大な演説で幕を開けた。なんと休憩なしで3時間半。それでも黙って拝聴しなければ忠誠心を疑われるから、みんな必死で耐えた。それは1週間にわたる党大会の主役が習であることを見せつける壮大で退屈な儀式だった。

習の影響力は、党大会の開かれている人民大会堂の中だけにとどまらない。党組織をほぼ完全に掌握した習は人口13億の巨大国家と兵力230万人の軍隊、そして11兆ドル規模の経済を支配している。

彼は国家に対する党の支配力を強化し、あらゆる反政府活動の余地をつぶしてきた。前任者の胡錦濤(フー・チンタオ)や江沢民(チアン・ツォーミン)は自らの権威を確立するのに苦労したが、習は13年の正式就任前から政敵を粛清していた。そして本来なら任期半ばである現時点になっても後継者を指名する気配を見せず、22年以降も続投するとの見方が広まっている。

だが習の台頭は約束されたものではなかった。迅速かつ幅広い粛清は彼自身の政治的スキルの成果でもあるが、党の他の面々が彼に提供したチャンスによる部分がはるかに大きい。

習がトップに上り詰めた時期は、はびこる腐敗に対する国民の不満が高まり、「アラブの春」の余波が中国にも及ぶかもしれないという危機感が募り、さらにウクライナの反政府運動が追い打ちをかけた時期と重なる。

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