中東を制するのはサウジではなくイラン

<若きムハンマド皇太子のサウジアラビアは、イランへの対抗意識をむき出しにしている。だが、シリアでもイラクでもレバノンでも代理戦争に勝ったのはイランだ>

サウジアラビアが中東各地で挑発的な動きを見せている。サウジに滞在中だったレバノンのサード・ハリリ首相に辞任を表明させたり、サウジの首都リヤドの空港を狙ってイエメンからミサイルが飛んできたときには激しい言葉で非難した。中東で影響力を争うイランに断固対抗する意志を示し始めたようだ。

攻勢を主導するのはムハンマド・ビン・サルマン皇太子(32)。皇太子の行動は一見、映画『ゴッドファーザー』で主人公のマイケル・コルレオーネがファミリーの敵に対して同時にいくつもの復讐を仕掛ける終盤を思わせる。しかし映画とは異なり、サウジアラビアの復讐は始まったばかり。しかもムハンマド皇太子はまだ中東でのイランの優位を覆す方法を見つけたとは言えない状態だ。

これまでの経緯を振り返ってみよう。サウジアラビアとイランは、中東のさまざまな場所で対立してきた。ここ10年の主な舞台は、イラクやレバノンなど機能不全に陥った国家、あるいはシリアやイエメンなどの崩壊国家だった。これらの国では紛争後の主導権争いが繰り広げられており、サウジアラビアとイランはそのすべての国で代理戦争を戦ってきた。

そして今のところ、どの国においても優位にあるのはイランだ。

レバノンはイランの支配下に

レバノンでは、イスラム教シーア派の武装勢力ヒズボラを抑えるためにスンニ派のサウジアラビアが支援していた政党連合「3月14日連合」がヒズボラに打ち負かされた。

1 2 3 4 5 次へ

関連記事(外部サイト)