孤独なオタクをのみ込む極右旋風

<動物キャラになり切ることを楽しむ「ファーリー」たち、その多くはリベラル派だがこの1年ほどで異変が起きている>

8月のその日、馬のジュニアス(20代前半)は、フィラデルフィア郊外のホテルのブースで反ファシズムのステッカーを配っていた。バージニア州シャーロッツビルで白人至上主義者の集会に抗議していたデモに自動車が突っ込み、1人が死亡する事件が起きたのは1週間前のことだった。

ジュニアスのブースにはフェネック(キツネの仲間)やマンチカン(ネコの仲間)など、さまざまな動物たちがステッカーを求めて行列をつくった。

もちろんジュニアスは本物の馬ではないし、列に並んでいたのもキツネやネコではない。彼らは「ファーリー」。お気に入りの動物キャラになり切り、その動物の仮装をする趣味・嗜好を持つ人たちのことである。この日は、フィラデルフィア近隣で初の大規模イベント「ファリデルフィア」が開かれていた。

ファーリーの多くは、性的マイノリティーで、極めて左翼的な思想の持ち主。自分たちは排除の論理を持たず、あらゆる性的指向の人と社会的な少数派を受け入れていると言う。

しかし、寛容の精神にも例外はある。昨年の米大統領選以降、ジュニアスとファーリーの仲間たちは、ファーリー界の極右勢力「オルト・ファーリー」と激しく対立している。

オルト・ファーリーは、ドナルド・トランプ大統領の支持層である「オルト・ライト(オルタナ右翼)」と同じく、白人至上主義・反グローバル主義の思想の信奉者だ。

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