プーチンは第3次世界大戦を目指す

<最小の投資で最大の効果を得たシリア内戦への介入――冷戦以来最悪の米ロ対決の構図が全世界に広がる>

諸君、祖国は敵に包囲されているぞ、今こそ生き残りを懸けた最終戦への備えを固めよ!

どうやらロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、国民にそう呼び掛けたいらしい。

国営テレビのニュース番組には、シリアで作戦行動中のロシア軍機の雄姿や、ロシアの国境地帯に集結したNATO軍の戦車や兵士の映像があふれている。視聴率トップのニュースショー『60分』では著名アナリストが、シリアで「大勝利」を収めたロシアは「超大国の地位」を取り戻したと豪語していた。

11月下旬にはプーチン自身がげきを飛ばした。「いざという時にわが国の経済部門が軍事生産・奉仕を増やせる能力は、軍事安全保障の最重要な側面の1つだ」と述べ、全ての大企業に戦時の備えを求めた。

この国の過去のプロパガンダの例に漏れず、「ロシアは戦争状態にある」という主張には一定の真実が含まれる。ただし、とても小さな真実だ。

確かにロシア空軍は15年9月からシリアで戦ってきたが、その規模は攻撃機約36機、要員数4751人にすぎない。ウクライナ東部でも、軍服を脱いだロシアの正規兵が現地の分離独立派民兵に交ざって偵察行動をしている程度だ(直近では11月半ば、分離独立派の拠点ルガンスクに国籍不明の戦闘服を着た数百人の部隊が突如として出現し、現地指導者間の内部抗争を未然に防いでいる)。

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