インドネシア・パプアで豪雨による洪水被害拡大 死者100人超、森林伐採が影響か

そうした地理的要素に加えて、1998年に民主化運動の高まりを受けて崩壊したスハルト長期独裁政権下では東ティモール州、アチェ州と並んで独立組織による武装闘争が続いていたという政治的にも特別な地域に位置付けられていた。

国軍による「軍事作戦地域(DOM)」に指定されて治安維持のために投入された国軍部隊による多くの人権侵害事件が報告され、ジャワ島などからの国内移民政策で急速に「脱パプア化」が図られるとともに、豊かな天然資源の開発が環境破壊も顧みられることなく急ピッチで進んできた経緯もある。

インドネシア最大の環境保護団体「ワルヒ(インドネシア環境フォーラム)」が今回のセンタニ地区の被害に関して「センタニ近隣の山の大規模開発による森林伐採で、土石流が居住地区に流れ込み、被害が拡大した可能性が高い」と述べて、自然災害に人災の要素を指摘していることには注目するべきだろう。

今でも細々とだが、独立組織「自由パプア運動(OPM)」による武装闘争が続くパプア州。大規模な洪水や土砂崩れとは直接関係はないものの、不法な森林伐採や乱開発が被害拡大の一因であるとするなら、パプア州が置かれた特殊な事情もあながち無関係とは言えないのではないだろうか。


[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。

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