イスラーム国の敗北と、トランプがゴラン高原「イスラエルに主権」に署名した関係

シリア政府の優位が確実となるなか、反体制派との戦いを勝ち抜いた「イランの部隊」の存在がイスラエルにとって脅威となったからだ。「イランの部隊」とは、シリア政府側が同盟部隊と呼ぶ武装勢力で、イラン・イスラーム革命防衛隊、レバノンのヒズブッラーなどを指す。

「イランの部隊」とイスラエルは、2018年に入ると挑発と報復を激化させた。「イランの部隊」は、ゴラン高原に対する無人航空機での威力偵察(2月)、ロケット弾攻撃(5月)を敢行、イスラエルは「イランの部隊」の拠点とされる拠点への爆撃・ミサイル攻撃を繰り返した。

これにはロシアも手をこまねいた。ロシアは、ゴラン高原に面するシリア南西部から「イランの部隊」を撤退させるべく外交努力を重ねる一方、シリア軍にS-300長距離地対空ミサイルを供与し、兵力引き離しを試みた。だが、一触即発の状態は続いた。



イスラーム国の敗北と同時期に、決断が下された理由

こうした情勢を踏まえて、ゴラン高原の処遇をめぐるトランプ大統領の決断の意味を考えると、そこには、シリアをめぐってイスラエルとの連携を強めることで、イランを牽制しようとする意図を読み取ることができよう。

事実、米国もイランへの警戒感を強めている。米国は、ダマスカスとイラクの首都バグダードを結ぶ国際幹線道路上に位置するタンフ国境通行所(イラク側はワリード)一帯地域(いわゆる55キロ地帯)に部隊を駐留させ、同地を事実上占領している。

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