新元号「令和」に秘められた、かもしれない政治ドラマ

<新元号の典拠である万葉集の「梅花の宴」の背景には、九州の大宰府に赴任した大伴旅人と朝廷をめぐる政治ドラマがあった>

新元号「令和」については、史上初めて中国の書物(漢籍)ではなく、日本の書物(国書)である万葉集を典拠としたとされています。ですが、今回の典拠となった部分というのは、漢文、つまり中国語の書き言葉で綴られた序文の部分です。

また、既に多くの識者が指摘しているように、そもそもこの「梅花の宴」の箇所自体が、中国の詩文集である「文選」にある張衡の「帰田賦」へのオマージュであることは間違いないでしょう。もっと言えば「令」も「和」もこの「帰田賦」にも出てくるわけで、こうなると「令和」の典拠は「純粋に日本の国書」というのは無理があります。

それよりも興味深いのは、この万葉集の序文に出てくる「梅花の宴」の背景です。安倍総理自身の解説によれば、梅を愛でる風流な宴会のように聞こえますが、実は宴の背景には、奈良の平城京における政治闘争が関係していた可能性があるのです。

政治闘争というのは、長屋王政権と藤原四兄弟(藤原摂関家の先祖)の激しい政治的対立です。長屋王という人は、父が天武天皇の長男で天武・持統政権の最高権力者であったとされる高市皇子、母の御名部皇女は天智天皇の娘で、皇族の中でも天皇に非常に近い存在でした。

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