「チェイニーが監督の命を救った」 『バイス』主演クリスチャン・ベールが裏話

<笑いと風刺で「陰の大統領」を描く『バイス』。チェイニーの秘密主義と転落、カメレオン俳優ベールの変身ぶりも見ものだ>

アダム・マッケイ監督から映画『バイス』の主役のオファーを受けたとき、クリスチャン・ベールは監督の気が触れたのかと思ったという。

ジョージ・W・ブッシュ大統領の下で副大統領を務めたディック・チェイニーを題材にしてマッケイが脚本を書いていることは知っていた。前作の『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015年)でトレーダー役を演じた自分を再度、起用したがっているということも。だが「脇役の話だと思っていた」と、ベールは言う。

ところが自宅を訪ねてきたマッケイは、ベールがチェイニー役の第1の候補だと告げた。ベールを思い描きながら脚本を書いたと言うのだから、そもそも他の俳優の起用などマッケイの頭にはなかったのだ。

「『指導者なのにカリスマ性は最低レベル』とキャラクターの説明をしておきながら、『君ははまり役だ』なんて言われても喜びようがない」と、ベールは笑いながら語った。「私にやれると思うなんて、よっぽどの想像力だ」

『バイス』は、ブッシュ政権下におけるサブプライムローン危機を思い切り風刺した『マネー・ショート』に続く作品だ。ワイオミング州の飲んだくれの無名の男がのし上がり、権力を手にしていくさまを辛口に描き、ありがちな政治家の伝記映画をゆがんだ鏡に映し出して見るかのような印象を与える。

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