『ビューティフル・ボーイ』薬物依存症の青年と父の苦闘の物語

例えば、治療施設から息子が逃げたとデービッドのもとに連絡が入る場面。パニックになるデービッドに医者が「回復過程では再発はつきもの」と言って聞かせる。ニックは何度も薬の誘惑に負け、デービッドはそのたびに「再発はつきもの」と自分に言い聞かせ希望を失うまいとした。「家族の理解を得るまでがひと苦労」だと、依存症専門医のスコット・ビネンフェルドは話す。「依存症は病気であり、簡単に治せるようなものではない」

なかでもメタンフェタミンは「最も依存性が強い薬物だ」という。「脳に放出されるドーパミンの量が圧倒的に多い」

明暗を分けるのは運だけ

薬物にのめり込むにつれて、ニックの人格が崩壊していくさまを、映画はリアルに描く。聡明で優しい青年だったニックは挙動不審になり、自己破壊的な行動を繰り返すようになる。

依存症患者は薬物を手に入れるためなら「嘘をついたり盗んだり何でもするが、だからと言って悪人ではない」と、ビネンフェルドはクギを刺す。

依存症も癌や糖尿病のような病気だと、デービッドが理解するには時間がかかった。それが分かってからは、息子を管理したり罰するのはやめたという。

高額の費用がかかる治療施設にニックを入れても、一進一退の状況が続いた。突破口になったのは、依存症の根底にある精神疾患が見つかったことだ。

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