「美人銭湯絵師」の盗作疑惑に見る「虚像」による文化破壊

しかし、しだいに銭湯広告の出稿が少なくなり、ペンキ絵も衰退していった。銭湯そのものも減る中、現在は銭湯からの直接の依頼で有料で描くスタイルに変わっている。

従って、「銭湯絵師」という個人がアーティストとして注目されるようになったのは、比較的最近のことなのだ。そうした時代の変化の中に、職人としての実力や熱意よりも、「若い美人」という表面的な要素を重視したスターシステムを招き入れる隙があったのかもしれない。

「虚像」は結果的に文化を衰退させる

地方の温泉と違い、都市の日常生活と密着した銭湯は今、補助金なしでは立ち行かない状況にあるという。今回の騒動には、勝海氏と「立ち位置が被る」として、自分が本当は丸山氏の弟子だったのに圧力によって立場を剥奪されたと訴える「銭湯アイドル」も絡んでいる。その真偽はともかく、そうした過去には考えられなかった仕掛けやPRが、騒動に複雑に絡んでいるのは間違いなさそうだ。

また、巨額が動く五輪関係イベントに、日本文化の紹介を名目とした銭湯関連のイベントが企画されていることも、関連が取りざたされている。そこにさまざまな利権が絡んで、広告代理店や芸能・デザイン関係のプロダクションが「勝海麻衣」という虚構のスターを準備していたという噂まで、まことしやかに広まっているのだ。

消えゆく庶民文化を守ることは必要だ。

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