「心の専門家」に、ピエール瀧氏を「分析」させるメディアの罪

<ピエール瀧氏をめぐる報道では、臨床心理士がわずか2分の映像をもとに瀧氏の「深層心理」を読み解くものまで登場した。一方、アメリカでは精神科医によるこうした行為の是非について活発な議論がなされてきた。「ゴールドウォーター・ルール」から日本が学ぶべき視点>

精神科医やカウンセラーがメディア上で、会ったことのない著名人について「診断」することはどこまで許されるべきだろうか。その行為は、倫理に反するのか?

ここ数年のアメリカでは、トランプ米大統領の支離滅裂な言動について精神科医がメディアでコメントすることをめぐり、激しい論争が起きている。

この論争には、歴史がある。鍵となるのは、アメリカ精神医学会(APA; American Psychiatric Association)が設けている「ゴールドウォーター・ルール(Goldwater rule)」と呼ばれる規定だ。そこには、「(メディアに対する一般的な知識の提供は問題ないが)当人に対して実際に診察を行い、かつ情報公開に対して適切な認可を与えられていない限り、精神科医が専門家として意見を提供することは非倫理的である」と書かれている。

このルールができた背景は、半世紀以上前に遡る。1964年の大統領選挙の際、アメリカの雑誌「Fact」が、共和党候補者であるバリー・ゴールドウォーター(Barry Goldwater)氏の適性に疑問を投げかけた。

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