ISIS残党がイラクを襲う

<一枚岩になれないイラク軍が招く軍事的リスクと「カリフ思想」の復活を招く社会的問題とは>

イラク西部の砂漠地帯アンバル州にある小さな村落、アブ・テバン。ここに住む村人は毎日、夜の訪れに怯えている。

村のリーダーを務めるダキィル・イブラヒム・ラマエドは、テロ組織ISIS(自称イスラム国)の再来を語る。「彼らは夜に襲ってくる」。ダーイシュ(アラビア語でISISを指す)はどこからともなく現れると、過去8度もISISに拘束され、その残虐性に触れたラマエドは言う。「われわれは家に監視カメラを置き、屋上には見張りを立たせ、村人は互いに警護しながら眠る。ここには治安部隊がいないから」

ISISは再びイラクで反乱を起こそうとしているらしい。少なくとも、その準備をしている。シリアにおけるISIS最後の拠点だった東部バグズが今年3月に陥落して以降、数千人以上の戦闘員がイラクに入ったとみられている。

実際、ISISの指導者アブ・バクル・アル・バグダディが4月に5年ぶりの動画を公開したとき、彼はスンニ派が多数を占めるアンバル州にいたとみられている。多くの戦闘員はISISが造った地下トンネルに潜伏して食料や衣服を調達。5〜10人単位で活動している。

一方のイラク軍は、内部の派閥争いから分裂している。ISISの大部分が掃討された一方で、小規模の生き残り部隊は活発に動いており、政府の監視が手薄なイラクの僻地を脅かしている。

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