富裕層向け巨大開発が中流層をニューヨークから締め出す

まさに都市再開発の金字塔という触れ込みだった。

「人々がそこで暮らし、働き、遊びもできる場所があり、そこに最高の人材が集まる。それがニューヨークには必要だと私たちは考えた」。ロスは竣工式でそう語り、胸を張った。

だが、期待に反してハドソン・ヤードの評判は芳しくない。このプロジェクトは高級志向の無謀な都市開発の象徴であり、ひと握りの富裕層とその他大勢の市民の分断を深めるだけだ。富の再分配どころか、富の集中を一段と加速するだけの代物だ。

今の時代、この手の巨大プロジェクトには逆風が吹いている。クイーンズ区のイーストリバー沿いに広大な第2本社を建設しようとしたアマゾン・ドットコムの計画は、地域住民や政治家の猛反対で葬り去られた。

なぜか。企業誘致に当たって自治体の用意する優遇措置(税の減免など)が地域にもたらす不利益は、雇用創出などのメリットを上回るからだ。

「行政当局の計算が間違っていたのだと思う」と言うのは、都市計画の専門家リチャード・フロリダ。しかし、既に走りだしているプロジェクトは簡単には止まらない。



高級化を企業誘致の呼び水に

そもそも、富裕層向けの巨大再開発で中流層に十分な雇用と住宅を提供できるものなのか。

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