富裕層向け巨大開発が中流層をニューヨークから締め出す

そんな手品みたいなことが、どうすれば可能なのか。

可能だとしても、容易ではあるまい。ボルティモアのインナーハーバー開発からボストンのビッグディグまで、アメリカの多くの都市では何年も前から、その景観や雰囲気をがらりと変える再開発が進められてきた。

もちろん、そこには正当な理由があった。長らく放置されてきた遊休地は活用したいし、老朽化した道路や生活インフラの更新は待ったなし。開発推進派のキャサリン・ワイルドに言わせれば、「50年も放置され、雇用にも税収にもまったく貢献していない空き地があったら、しかるべき投資をするのが得策と考えざるを得ない」のだ。

それは、フロリダが02年の著書『クリエイティブ資本論――新たな経済階級の台頭』(邦訳・ダイヤモンド社)で提唱したアプローチだ。この本で彼は、アーティストや知識人、大卒の若者といった「クリエーティブ階級」を呼び込める場所ができれば都会に活気が戻ると主張した。そして彼らがやって来れば優良企業もやって来るから、結果的に新たな雇用が生まれ、税収も増えると論じた。

行政が率先して公園を整備し、高級レストランを誘致し、活気に満ちたナイトライフを提供すれば、若くてクリエーティブな人たちにアピールできるだろう。一方で寛大な税の減免措置を用意すれば資金の潤沢な開発業者が乗り出すだろうし、先端企業も喜んで進出してくるはずだ。

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