日本の天文衛星も影響を受けた流転のウクライナ製ロケット、カナダで受け入れへ

大きなシェアを持つアメリカの衛星企業を顧客にできないことから打ち上げ事業の見通しが悪化し、事業は中止に追い込まれたというものだ。これには2000年にブラジル議会がアメリカ─ブラジル間のTSA批准を拒否したために締結できなかったという背景もある。

情報ソースはウィキリークスであるため慎重な判断を要するが、2019年3月にアメリカとブラジルはもう一度TSAに署名したという事実がある。今回、アルカンタラ射場から打ち上げを行う候補として名前が上がっているのは、アメリカの小型ロケット開発企業、ベクタースペースシステムズだ。

トランプ大統領は「ブラジルは赤道に近く、打ち上げに理想的だ」とコメントしたというが、皮肉なことに赤道に近い射場の利点が下がっている、との見方もある。赤道から地球の自転を利用してロケットを加速する打ち上げは、大型の静止通信・放送衛星にとっては好都合だ。しかし現在はスペースXのスターリンク計画など、南北の軌道を利用するコンステレーションと呼ばれる低軌道衛星網の計画が静止衛星に取って代わろうとしている。サイクロン4はカナダへ移転したことで、衛星市場の変化をやり過ごしたかもしれない。

政治に翻弄されたサイクロン4ロケットだが、さらにその影響を受けたナノジャスミン衛星の打ち上げロケットはまだ決まっていない。2018年には海外の小型ロケット企業が打ち上げを引き受ける可能性が浮上した、という光明があった。今度こそ、落ち着いて衛星の実力を発揮できるよう祈るばかりだ。



Maritime Launch Services Spaceport Animation

秋山文野

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