『日本国紀』は歴史修正主義か? トランプ現象にも通じる本音の乱――特集・百田尚樹現象(3)

<百田史観の売りは、史実的な正しさよりも読み物としての「面白さ」、反朝日、反中韓というスタイルにある。それが「ごく普通の人」の間で人気を獲得している状況と、トランプ現象はよく似ている。筆者の石戸氏が16ページのルポで出した「結論」とは――>

※本記事は3回に分けて掲載する特集「百田尚樹現象(3)」です。(1)(2)はこちら
百田尚樹はなぜ愛され、なぜ憎まれるのか――特集・百田尚樹現象(1)
幻冬舎・見城徹が語った『日本国紀』、データが示す固定ファン――特集・百田尚樹現象(2)

第4章:敵を知れ

百田への賛否を分かつ明らかな境界線は、百田の歴史観にある。「客観的に見れば『南京大虐殺はなかった』と考えるのが極めて自然」という考えも、多くの歴史学者からすれば「また出てきた歴史修正主義の1つ」といった受け取り方になる。確かに、学術的な議論に関しては、既に決着はついている。百田史観の根幹について、代表的な事例のみを最新の歴史学の成果から検証しよう。

百田史観の中でも、百田が繰り返し強調し、見城が『日本国紀』の「ハイライト」と豪語したのが、WGIPをめぐる記述だ。最新の歴史学と百田史観を比較してみよう。WGIPはGHQの情報政策で、右派論壇の中では「第二次大戦について、日本人に罪悪感を持たせるための洗脳工作」といった趣旨で使われる。

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