シリアの核施設を空爆で破壊せよ



このときイスラエルが提供した情報は、イギリス側が全く想定していないものだった。スカーレットは直ちに、それを「容認し難い状況」と位置付けた。

MI6は、アラブ諸国に深く浸透していることで知られている。スカーレット自身もシリアのバシャル・アサド大統領と会ったことがあり、彼のことはよく分かっているつもりだった。ところが、アサドが核兵器の開発を進めているという情報を全くつかめていなかった。英政府は、それが中東地域の、ひいては世界の安定に及ぼす影響について強い懸念を抱いた。

「君たちのミッションは、シリアの原子炉を爆撃することだ」。07年9月5日、イスラエル空軍参謀長のエリエゼル・シュケディは、パイロットたちにそう述べた。彼らは顔を見合わせた。「イスラエルの人々と国家の安全を守るために極めて重要なことだ」と、シュケディは説明した。パイロットの1人は「驚いたけれど、考えている時間はなかった」と振り返っている。

この作戦には、3つの目標があった。原子炉を破壊すること。1機も失わずに帰還すること。そして、できるだけ静かに、誰にも知られずにミッションを完了させることだ。この点は「ソフト・メロディー作戦」という作戦名にも表れていた。シュケディは隊員の一人一人と握手し、「君たちを信じている」と激励した。

任務に出発した8機の戦闘機は、レーダーに捕捉されずにシリア領空に侵入するために地上60メートルの超低空飛行を続け、パイロットと乗務員はひとことも言葉を発しないようにした。

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