アメリカが拷問と、いまだに決別できない深刻な理由



次のテロ攻撃の影に怯えたCIAは、シャルフ流の手法の有効性を示す実例を無視し、アクション映画さながらの尋問手法にのめり込んでいった。対象者を脅し、拷問を加えるというやり方だ。「強圧的でない『戦略的尋問』のほうが有効だという教訓は忘れられてしまった」と、アメリカの尋問手法に関する06年の研究は記している。

しかしその後、CIAのブラックサイト(テロ容疑者を収容する秘密施設)や、いわゆる「高度尋問テクニック(EIT)」──拷問の婉曲表現だ──の実態が報じられるようになると、国際的な非難が強まり始めた。

米上院情報特別委員会の調査によれば、容認し難い拷問が行われていただけでなく、そうした手法の有効性が過大評価されていた。拷問対象者は、激しい苦痛から解放されたい一心で虚偽の情報を口にする場合もあったという。その場合、情報機関は無駄な調査や工作活動をする羽目になる。

法律を骨抜きにする動き

09年に就任したバラク・オバマ前大統領は、1月の政権発足早々に拷問を禁止した。同政権はこの年、新しい方針の下でテロ容疑者の尋問を行うために、CIAとFBIと国防総省の専門家を集めて「重要収容者尋問グループ(HIG)」という組織を新設した。





オバマ前大統領は政権発足後すぐに拷問禁止を打ち出した WIN MCNAMEE/GETTY IMAGES


拷問の時代は、ついに終わりを迎えたかに思えた。

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