アメリカが拷問と、いまだに決別できない深刻な理由

「HIGから意見を聞かれてもいないのだから、指示に従う必要はない」と陸軍は考えていたのだ。

陸軍のマリア・ンジョク広報官は、この指摘を否定する。「陸軍は引き続きHIGと協力していく」と、本誌に宛てたコメントで述べている。

改革は単なる世論対策

これまで、軍とCIAが尋問改革を全く行ってこなかったわけではない。陸軍は06年、ジョージ・W・ブッシュ政権のドナルド・ラムズフェルド国防長官の文書により承認されていた強硬な尋問手法のいくつかを放棄した。

しかし、それまでの尋問手法が科学的に見て有効でないと判断したわけではないと、元CIA諜報員で心理学者のチャールズ・モーガンは言う。「世論の風当たりを感じて方針を修正しただけにすぎない」

当時は、キューバのグアンタナモ米海軍基地やイラクのアブグレイブ刑務所、そのほかのCIAのブラックサイトで収容者への拷問や虐待が横行していることがメディアで報じられて衝撃が広がり、批判が高まっていた時期だった。



モーガンによれば、09年にHIGが新設されたときも同じような心理が作用していたという。「その頃、CIAの評判が悪くなっていた」

要するに、「科学的な根拠を受け入れて方針を変更したとは考えにくい」というのだ。

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