韓国政府が無視していた慰安婦問題を顕在化させたのは「記憶の活動家」たち

<慰安婦の存在は一般に知られていたが、当初は戦争の物語から抜け落ちていた。なぜ語られるようになったのか。キャロル・グラック教授が学生たちとの対話を通してあぶり出す「慰安婦問題の背景」>

日本近現代史を専門とするコロンビア大学のキャロル・グラック教授(歴史学)。新著『戦争の記憶 コロンビア大学特別講義―学生との対話―』(講談社現代新書)には、グラック教授がコロンビア大学で多様な学生たちと「戦争の記憶」について対話をした全4回の講義と、書きおろしコラムが収録されている。

本書の元となったのはニューズウィーク日本版の企画で、学生たちとの対話は2017年11月から2018年2月にかけ、ニューヨークの同大学にて行われた。本誌では「戦争の物語」「戦争の記憶」「『慰安婦』の記憶」そして「歴史への責任」と、全4回の特集として掲載し、大きな反響を呼んだ。

ここでは3回目の講義、「慰安婦の記憶」を、『戦争の記憶 コロンビア大学特別講義―学生との対話―』から3回にわたって全文掲載。

第2回目となる今回は、「慰安婦問題」がなぜ最初は語られなかったのか、そして語られるようになったのはなぜなのか、その背景に学生たちが迫った。

※第1回はこちら:「慰安婦」はいかに共通の記憶になったか、各国学生は何を知っているか
※第3回はこちら:韓国と日本で「慰安婦問題」への政府の対応が変化していった理由

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戦後長らく、慰安婦問題が語られなかった理由

ディラン 前回の講義で話されたように、アメリカと日本の戦争の物語は基本的にはパールハーバーから始まって原爆で終わります。

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