映画『ライオン・キング』は超リアルだが「不気味の谷」を思わせる

しかし今回のグローバーやビヨンセには、そうしたチャンスが与えられなかった。それなら誰も顔を知らない声優を起用してもよかったのに。

94年当時既に大人だった筆者は子供向けのアニメに興味がなく、アニメ版は見ていない。ずいぶんたってから舞台版を見て、その独創性には圧倒されたが、長子相続や親への屈折した感情を盛り込んだ男系社会の英雄譚(たん)には少なからぬ反発を覚えた。そして今の時代、青少年向けの冒険映画でも「運命に導かれて世界を救う少年ヒーロー」みたいな世界観にはさらに懐疑的だろう。



シンバはイボイノシシとミーアキャットのコンビに助けられて成長する ©2019 DISNEY ENTERPRISES, INC. ALL RIGHTS RESERVED

さて、『ライオン・キング』の世界はプライドランドと呼ばれる王国。かつては平和だったが、王様ムファサが弟のスカーに殺され、王位を奪われてからは荒廃してしまう。

主要なライオンの「声」を黒人キャストが担当した今回のプライドランドは、いわば映画『ブラックパンサー』の舞台となったワカンダ国のミニチュア版。父殺しの汚名を着せられ、追放された息子が王座を奪い返す物語は、白人のマシュー・ブロデリックがシンバを演じたアニメ版よりも胸を打つ。

関連記事(外部サイト)