世界で最も有名なオオカミ「OR-7」を知っているか?

<オオカミは保護すべき希少動物か、駆除すべき害獣か――人間たちの論争を尻目に、果てしなき旅を続ける1頭のオオカミの物語>

オゥゥゥ、オゥゥゥ、オゥゥゥ〜! ジョン・スティーブンソンが口に手を当て、長く悲しげな遠ぼえをした。その叫びはローグ川・シスキュー国立森林公園の奥へと吸い込まれる。オゥゥゥ〜!

スティーブンソンは米魚類・野生動植物局の職員で野生動物学者。呼び掛ける相手は識別番号OR-7、世界で最も有名なオオカミだ。17年5月のこと、スティーブンソンはオレゴン州南部の深い森にたたずみ、遠ぼえの返事を待った。だが、答えはない。

モミの巨木に設置した追跡カメラに残る1400枚以上の画像もチェックしたが、写っているのはクマやボブキャットやシカばかり。どうやらOR-7とその仲間たちは餌を求めて、山の反対側に行ってしまったらしい。彼の首に取り着けたGPS発信機は3年前から機能していないから、今は遠ぼえとカメラだけが頼りだ。

OR-7は11年に、その名を歴史に刻んだ。繁殖の相手を見つけるために群れを離れ、オレゴン州北東部から山を越え、高速道路の高架下をくぐり抜けて2000キロ近くも旅をし、ついにカリフォルニア州北部のラッセン火山国立公園に到達した。1924年以来、カリフォルニア州内に立ち入った野生のオオカミは彼が初めてだった。

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