カシミールを襲うインドの植民地主義

住民の立場から問題を考え、印パ対立というお決まりの図式から脱するべきだ。住民の参画なしに、平和で正しい解決はあり得ない。

もちろん、それは簡単なことではない。インド独立後に世界各地に離散した右翼ヒンドゥー勢力は、欧米諸国では少数派の権利を求めて闘っても、母国に戻れば自分たちの優越性を主張しがちだ。

人口14億近い多民族・多宗教国家のインドで、その8割を占めるヒンドゥー教徒の立場だけを擁護するヒンドゥー・ナショナリズム派にとって、立憲主義の非宗教的な民主主義国というインドの在り方は受け入れ難い。彼らは民族の純血性を求めるナチスを尊敬した勢力の系譜を受け継いでいる。多くの支持者は、たとえ住民の絶滅につながろうと、カシミールは絶対に手放さないという主張に賛同している。

1989年にカシミール盆地からカシミーリー・パンディットと呼ばれる少数派ヒンドゥー教徒勢力が脱出した。この一件をヒンドゥー・ナショナリズム派は巧みに利用してきた。宗教的な分断や少数派への暴力、多様化への対応の欠如ではなく、ヒンドゥー教徒への迫害やイスラム教徒の野蛮性、パキスタンによる陰謀という見方を打ち出した。

それでいて虐殺やレイプ、イスラム教徒とパンディットそれぞれの被害について司法機関に捜査を求めることはなかった。和平を模索することもない。

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