米軍がイラン旅客機を撃ち落とした1988年の夏

「トランプが昨年台無しにした合意の一番の受益者はイラン政権ではなく、イランの一般市民だった」

アメリカはイラン革命以降ほぼ一貫してイランの孤立化を図ってきたが、皮肉にもトランプ流の「最大限の圧力」はかえってトランプ政権を対イラン政策でほぼ孤立させる結果となっている。中国とロシアは6月5日の共同声明でアメリカの対イラン制裁に反対を表明。アメリカの盟友であるヨーロッパも、遅まきながら29日にイランとの限定的な貿易を可能にする特別目的事業体をスタートさせた。



イランはアメリカが制裁を解除しなければ協議に応じない構えだが、アメリカは6月24日、イランの最高指導者で1988年の事件当時は大統領だったアリ・ハメネイまで制裁の対象にした。世界各地のイラン大使館が事件を回顧するなか、ワシントンにあるかつてのイラン大使館は今も無人のまま。外交再開に備えて米国務省が維持に努めているというが、その見込みはこれまでになく薄い。

6月末、イランの司法当局者を前に演説したハメネイは、イラン民間機撃墜を「アメリカ流の人権」と非難。アメリカによる干渉は「この国に進歩をもたらすどころか後退要因でしかない」と主張し、次のように締めくくった。「イランは前進する。アメリカが首を突っ込みさえしなければ」

<本誌2019年8月27日号掲載>

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※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。


トム・オコナー

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