
【任命拒否問題】佐藤優氏が首相に「総合的、俯瞰的に判断」と30回繰り返すべきと提言
2021年04月09日 09時20分 PRESIDENT Online
2021年04月09日 09時20分 PRESIDENT Online
2021年04月08日 15時15分 PRESIDENT Online
昨年10月、国会は日本学術会議の任命拒否問題で大騒ぎになった。あの問題の本質とは一体なんだったのか。佐藤優氏と池上彰氏の対談をお届けしよう――。※本稿は、池上彰・佐藤優『ニッポン未完の民主主義』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。
■政権に「政府による学問の自由の侵害」という意図はなかったはず
【池上】菅政権発足後、いきなり日本の民主主義が正面から問われるような事態が持ち上がりました。日本学術会議の会員任命拒否問題です。2020年10月1日に行われた新会員の任命に際して、任命権者である菅首相が、学術会議の推薦した105人のうち6人を除外したんですね。2004年に、組織内部からの推薦を受けて会員に任命される制度となって以降、初めてのことでした。
「任命拒否」という事実もさることながら、菅総理が「総合的、俯瞰的に判断」などと繰り返すのみで、除外の明確な理由を語らなかったことも、批判を浴びました。
【佐藤】この問題で私が恐れるのは、神学で言う「予言の自己成就」です。初めは根拠のない思い込みでも、人々がそれを信じて行動することで、「正夢」になってしまう。例えば、「○○信用金庫が危ない」という根も葉もない噂を信じて取り付け騒ぎが起こった結果、信金が本当に潰れる、といったことが起こりえるわけです。
この場合の「噂」は、「政府による学問の自由の侵害」です。