「申し出なければ病院はやってくれない」死の間際の苦痛と無縁になる"緩和ケア"という選択肢

「申し出なければ病院はやってくれない」死の間際の苦痛と無縁になる"緩和ケア"という選択肢

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Kayoko Hayashi

医者は病気を治すのが仕事だ。それでは末期がんなど、治せない病気のときには仕事がないのだろうか。緩和医療医の大津秀一さんは「医療は『治す』だけではない。病気は治せなくても、苦痛を和らげることはできる。そうした『緩和ケア』の専門医はまだ少なく、知名度も十分ではない。緩和ケアという選択肢をより多くの人に知ってほしい」という――。※本稿は、大津秀一『幸せに死ぬために 人生を豊かにする「早期緩和ケア」』(講談社現代新書)の一部を再編集したものです。

■「緩和ケア」の歴史はまだ50年ほど

「緩和ケア」という言葉は一般的にはまだなじみがないかもしれません。医療というと「病気を治すもの」と誰もがイメージしているかと思います。しかし現代の医療は、完治しない慢性病や、そもそも完全に以前の状態に戻すことは難しい老いの問題と向き合っています。その過程で、「治す」とはまた別のもう一つの重要な考え方である「苦痛を和らげ、心身をより良く保ち、元気に生活できる」ことを支える医療が育ってきたとも言えましょう。それが緩和ケアなのです。

歴史をさかのぼると、まず1950年代に、亡くなってゆく方が人らしく過ごせるようにするための「ターミナルケア」が米・英で生まれました。1960年代に入ると全人的な、つまり身体だけではなく精神的・社会的な側面も重んじるホスピスケアに発展していきます。

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