報酬1億を"カネの亡者"と呼ぶ官僚の理屈

報酬1億を"カネの亡者"と呼ぶ官僚の理屈

2018年12月10日、記者会見で辞任の意向を表明する産業革新投資機構(JIC)の田中正明社長(当時)(写真=時事通信フォト)

■「高額報酬に政治がストップ」という構図のウソ

2018年の年末も押し詰まった12月28日、官民ファンドの産業革新投資機構(JIC)は、田中正明社長ら民間出身の取締役9人が一斉に退任した。前身の産業革新機構(INCJ)を引き継いでJICが発足してわずか3カ月、経済産業省と田中社長の対立が表面化して1カ月で、JICは事実上、空中分解し、休止状態に陥った。

「いまだに経産省の幹部が、高額報酬にこだわり続けた田中氏らはカネの亡者だといったネガティブな情報をメディアに流している」と辞めた取締役のひとりは呆れる。あくまでも高額報酬にこだわった民間人たちと、国民のおカネを運用する機関に高額報酬は許されないとする経済産業省の対立という構図を、霞が関は強調したいのだろう。国の機関で成功報酬を含めた1億円超はおかしい、という論理を展開すれば、国民世論を味方に付けられると考えているのかもしれない。

ちょうど同じタイミングで起きた日産自動車のカルロス・ゴーン会長(当時)の逮捕でも、高額だった報酬の一部を有価証券報告書に記載していなかったことが容疑とされた。JICの高額報酬に政治がストップをかけた、という構図は非常にわかりやすい。

■「素晴らしすぎる組織」を潰す口実ではないか

だが、菅義偉官房長官が「1億円を超える報酬はいかがなものか」と言ったことが、経産省が態度を豹変させるきっかけになった、というのは本当だろうか。

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