何でも無料のインターネットは、「商業道徳」を無視しすぎている

何でも無料のインターネットは、「商業道徳」を無視しすぎている

経営学者の楠木建さん(左)と哲学者・批評家の東浩紀さん(右) - 撮影=西田香織

ネット経済は「無料」をベースに急拡大してきた。だが、それは商売として真っ当だったのだろうか。哲学者の東浩紀さんは新著『ゲンロン戦記』(中公新書ラクレ)で、言論活動でお金を稼ぐ苦労を赤裸々に綴った。同書を読み、「感動的」と評した経営学者の楠木建さんとの初対談をお届けする――。(前編/全2回)■失敗→反省→自己認識のおもしろさ

【楠木】『ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる』(中公新書ラクレ)を興味深く読ませていただきました。考えさせられるところが多々ありました。

【東】ありがとうございます。楠木さんのような経営学者に褒められるとちょっと恥ずかしいですね。2010年に39歳でちっちゃい会社をつくって、それから10年ほど悪戦苦闘したというだけの記録ですから。

【楠木】白状すると、東さんの著書は初めて読みました。書店で平積みされていたので、「これはおもしろそうだな……」ぐらいの興味で手にとったんです。読んでみて、期待をはるかに超える内容でした。この本で東さんの哲学・思想の一端を知ることができたので、これから『ゲンロン0 観光客の哲学』なども読んでみます。「観光」とか「誤配」といった概念は実にイイですね。

【東】『ゲンロン戦記』で初めて僕の本を読んでくれた方はけっこういるみたいです。Twitterの反応を見ても、これまでの読者とは違う。

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