今回の自民党総裁選は「石破の善戦」というより「青木の勝利」だ――倉山満

秩序に責任を持つのが支配者だからだ。岸はこれをやめさせようとした。

 岸は弱体政権ながらも何とか安保改正をやりきったが、政権の命脈は尽き、翌年に退陣に追い込まれた。

 トリプルスコアでも激怒、ダブルスコアなら政権黄信号。この歴史を安倍首相は、どう捉えるか。安倍首相の悲願は憲法改正らしいが、岸首相の安保改正のように、政権と引き換えに値する内容であるかどうか。

 安倍首相は、「憲法9条改正と消費増税10%」を掲げて総裁選挙を勝った。来年は統一地方選挙と参議院選挙がある。選挙の年に改憲と増税を掲げるなど正気を疑う。

 そこにお灸を据えたのが、青木幹雄氏だ。今回の総裁選は、「石破の善戦」と言うよりも、「青木の勝利」と評すべきだ。青木氏の影響下にある参議院竹下派が味方しただけで、この結果なのだから。

◆青木氏は煮ても焼いても喰えない、練達の政治家である

 そもそも、青木幹雄とは何者か。

 昭和9年島根県生まれ。学生時代は、早稲田大学雄弁会幹事長。大学を中退して竹下登の秘書となり、33歳で島根県議(5期)、52歳で参議院議員。あらゆる政局で「竹下の側近中の側近」として活躍する。初入閣は官房長官。竹下の死後は、小泉純一郎を担ぎ、「参議院のドン」となる。

関連記事(外部サイト)