26歳の若者が見たドヤ街・西成…筑波大学卒業後、就職できず無職に

中には、夜になるとスーツを着て出掛けていく女のコもいました。どちらかといえば、ドヤにとどまっている人たちのほうが、わからないことが多かったです。ただ、基本的に自分の経歴って、だれも言わないんですよ。言ったとしても、それが本当か嘘なのかわからない。だから、経歴や過去を聞いたところで、ここではなんの意味もないんです。私が筑波大学を出たといっても誰も突っ掛かってこない。普通に考えてこの街にいるはずないじゃないですか。次第に自分でも他人に対して興味がなくなっていくのがわかりました。相手の話を受け流すようになって……途中で同僚に指摘されてハッとしたのですが、そんな思考停止した状態を西成の人たちは“西成に染まる”と呼んでいました」

 西成では、だれもが自分の“設定”を作って生きている。その設定を塗り固めていくうちに、言っていることがチグハグになっていく。そして、その中でも見栄を張ろうとしたり、自己顕示欲を示そうとしたりするのだ。

「自称“証券マン”の男性は、会社の有給で1か月の間だけ来ていると言ってましたが、スマホすら持っていない。西成の人たちだって携帯電話ぐらい持っているのに。普通に考えたらありえないでしょう。でも、みんなも嘘だとわかっているから、突っ込まないんです。あと、西成で生活をする中でも、“カネ持っているアピール”をする人も多かったです。たとえば、定食屋でひと口食べただけで『こんなもん食えるか!』とテーブルをひっくり返して、『俺はカネ持っているんだ!』とか叫びながら3000円ぐらい置いて出ていくオヤジとか。

関連記事(外部サイト)