<純烈物語>「観客の前で演る楽しさ」後上翔太を成長させた御園座の舞台<第94回>



「そう思えるようになったのは、稽古も終盤に入った段階でした。お芝居を見て水戸黄門の世界っていいな、歌を聴いて楽しかったなって思って帰っていただく。あの世界の中で、そこの住人にギリギリでも引っかかっておけばお客さんに届くと思っていました」

 後上が時代劇をライブで演るのは、前川清座長公演で少しばかり経験した程度。それが今回は、自分に合うかつらを作ってもらったり衣装も着付してもらったり、身の周りの世話をしてくれる若い役者もついた。

 その分、よけいにプレッシャーも膨らむ。ましてや村人という役どころは、時代劇っぽさがダイレクトに出る武士やなんらかの役職に就く登場人物よりもある意味難しい。

◆毎日の積み重ねは歌で学んできたこと

「和服の所作とか歩き方とか、ずっとやっているベテランの役者さんからすれば全然足りないとなる。歩き方からまず直さないと……という話です。村人には村人の立ち振る舞いがあって、時代劇的なスッと立つというような動きはやるな、それは武士の動きだからということを言われました。

 威風堂々とゆっくり歩くとか、大股の方が時代劇っぽいのにそれはやっちゃダメなんですよ。現代よりも身分制度がハッキリしている時代だから、そこをキッチリとやらなければならないという話をやさしく、ていねいに教えてくださるんです。

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