うつを公表して初めて大坂なおみの会見拒否に納得する想像力のなさ

うつを公表して初めて大坂なおみの会見拒否に納得する想像力のなさ

写真/時事通信社

―[鈴木涼美の連載コラム「8cmヒールで踏みつけたい」]―

大坂なおみが、テニス四大大会の全仏オープン開幕直前に試合後の記者会見を拒否。当初世論は批判的だったが、その後「’18年の全米オープン以降、長い間うつを患い、対処するのに苦労してきた」と告白。スポーツ選手がよい精神状態でプレーできる環境を整えることこそが重要だとの声が高まっている

◆あなたに有利な証拠として

 日本の公的機関の記者会見の大義名分は、大臣なり知事なりに定期的な情報開示を求め、報道機関が平等に質問できる機会をつくることだが、基本的に記者クラブが主催しているため、閉鎖的になりがちなその構造はかねてから問題とされている。

 ただ、一応平等に情報が開示されるその場では、どんな新しい情報が出てきてもトクダネにはならないし、記者個人のモチベーションは低く、個別取材に比べてありがたみも感じない。

 そんな、フリーランスからは嫌われ、大手メディア記者からもありがたがられない記者クラブ主催の記者会見が維持されているのは、民主主義社会において公的機関には説明責任があり、公的機関の仕切りではなく、あくまで報道側が主導して情報開示を迫らなければ健全性が損なわれるからだ。

 多くの報道機関が質問したい話題の人の記者会見を日本記者クラブなどが開催することもあるが、公的機関以外で開かれる記者会見の多くは、情報を発信したい人が勝手に開くものだ。

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