安倍前首相の「反日発言」の酷さを斬る<法学者・小林節氏>

安倍前首相の「反日発言」の酷さを斬る<法学者・小林節氏>

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<注:本記事は東京オリンピック開催前に書かれたものです。しかしながら、開催後も感染者数が増大、オリンピックに参加するアスリートや関係者からも感染者数が出たり、猛暑下の開催でコンディションを悪くする選手が続出するなど、開催前に起きた議論と何ら変わらない状況になっているため、そのまま掲載します>

◆「反日」?

 安倍前首相が、6月に刊行された月刊誌上の対談の中で、今回の五輪開催に強く反対している人達として、共産党や朝日新聞を挙げて批判した。その際の決め言葉が「反日」であった。

 曰く、「歴史認識などで一部から反日的ではないかと批判されている人たちが、今回の開催に強く反対している」。

 この「反日」という単語は、いわゆる右派の人々が自分とは意見の異なる人々を否定しようとする際に相手にレッテルの様に貼り付ける言葉である。

 彼等が言う「反日」とは、歴史認識において自分達と見解が違う人々に与える評価で、それによって議論を打ち切り、以後、人格批判を始める合図の様な「記号」である。戦争責任、日本国憲法の評価などについて自分と認識が異なる者に彼らが投げ付ける単語である。敗戦前のわが国において、国策に異論があると疑われた国民に投げ付けられた「非国民」という単語と同様の機能を持っている。

 だからそれは、刻々と変化する状況の中で国民の安全と安心を確保するために今も真剣に公論が続いている問題について、前首相である代議士が使って良い言葉ではないはずである。

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