川村元気が“不信の時代”に送り出す小説『神曲』。神に縋るしかなくなった家族の行方は

川村元気が“不信の時代”に送り出す小説『神曲』。神に縋るしかなくなった家族の行方は

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映画製作の最前線と小説執筆という孤独な世界を往還しながら、さまざまな物語を世に送り出してきた川村元気氏が、2年半ぶりとなる長編小説『神曲』を刊行する。

 小学校の校門前に現れた通り魔が、子どもたちを次々とナイフで突き刺していく衝撃的なプロローグから始まる最新作は、「神の正体」を巡るスリリングな物語だ。稀代のストーリーテラーが「不信の時代」に伝えたかったものとは何なのか?

◆いつ自分が被害者になってもおかしくない

――本作は理不尽な無差別殺人事件に遭い、新興宗教に入信していく被害者遺族にフォーカスしている。

川村:特定の信仰を持っていなかった家族が、神に縋るしかなくなるとしたら? と考えました。自分の家族がこんなふうに殺されてしまったら、神に救いを求めるのは自然な選択なのでは、と。今回、さまざまな宗教の信者、元信者、100人以上の方々からお話を伺ったんですが、実際に同じような経緯を辿ったご家庭もありました。大きい事件や事故があった後、遺族の家に「お祈りさせてください」「お祓いさせてください」と宗教関係者が訪ねてくるケースって多いらしいんですね。

無宗教者からすると、弱みにつけ込んでいる、と思ってしまう。だけど彼らは「助けてあげたい」という、ものすごくピュアな気持ちで来ていたりする。

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