ウクライナでの事変は対岸の火事ではない。最後の猶予期間だ/倉山満

ウクライナでの事変は対岸の火事ではない。最後の猶予期間だ/倉山満

拷問され死亡したとみられる市民が数百人発見された、首都キーウ(キエフ)近郊のブチャ。ロシアはこうした拷問やレイプについて、西側諸国によるでっち上げだと主張している 写真/EPA=時事

―[言論ストロングスタイル]―

◆無抵抗を貫いていたら、何をされても文句は言えない

 その昔、正論を吐いて更迭された防衛政務次官がいた。今は政務官だが、当時は政務次官と呼ばれていた。まあそれはいい。

 曰く、「お前が強姦されとってもオレは絶対に救ったらんぞ」と。

 要するに、そんなに憲法九条を守って無抵抗を貫きたいのなら、何をされても文句を言えないが、それでいいのか、と護憲派の女性議員に言いたかったらしい。中身は正論だが、20世紀末の世論が許してくれるはずがない。日本中から袋叩きにされてクビになった。

 何を下品な表現をと思う向きもあるかもしれない。しかし、この発言がなされた’90年代は、「戦場レイプ」が深刻な国際問題と化していた。特に注目されたのは解体過程にあった旧ユーゴスラビア連邦。約10年に渡り三勢力が抗争する民族紛争が激化、「民族浄化」と呼ばれる多くの悲劇が生まれた。

◆国際法は「全員が守る訳がない」との前提で作られている

 その中でとりわけ悲惨だったのが「強姦収容所」だ。敵対民族の女性を拉致する。輪姦して妊娠させる。監禁して、中絶が不能になってから、元のコミュニティーに返す。民族憎悪が招いた悲劇だ。

 言い訳不能の国際法違反であり、戦時においても絶対にやってはならない犯罪だ。

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